相続お役立ち情報

コロナ禍における親族間の資金援助のポイントを解説します。

新型コロナウィルス感染症による生活や経済活動の制限が長期化し、その影響が日に日に広がっていることを実感しています。国や地方公共団体からも様々な給付金や補助金等の支援策が出ていますが、筆者も以下のような、コロナ禍特有の親族間の資金援助に関する相談を受けることが多くなりました。

  • 子供の事業の資金繰りがうまくいっていないため支援したい
  • 子供が失業して住宅ローンが払えなくなってしまったため支援したい

親または祖父母の方が、子や孫といった下の世代に資金援助を行う場合には、大きく「貸付」と「贈与」という2つの方法があります。さらに「贈与」には年間110万円以下の贈与が非課税となる「暦年課税贈与」と、届出を行えば2500万円以下の贈与が非課税となる「相続時精算課税贈与」があります。今回はそれぞれの手法で資金援助する場合のメリット、デメリット、実行する際の留意点等を税務的な観点からまとめてみました。

親族間の貸付

貸付は、将来返済されることを約束したうえで資金を渡すことをいいます。貸した側は、資金は減りますが、同額の債権が財産として残ります。借りた側は、資金が増えますが同額の債務(返済義務)を負うことになります。貸した側が亡くなった際には、その未返済の部分が遺産として分割協議の対象となります。

税金面での取り扱いはどうでしょうか。

ご親族間における資金援助を貸付金として処理した場合、金額の多寡にかかわらず、その瞬間には贈与税を含めて一切の税金は発生しません。この点、贈与にはないメリットと言えます。ただし、貸していた方が亡くなられて、未返済の部分が残った場合には、これが亡くなられた方にとっての債権(遺産)として相続税の対象となってしまいます。

資金援助を「貸付」として処理する場合、以下の点にご留意ください。

  1. 金銭消費貸借契約書を作成しておきましょう
  2. 返済の履歴を残しておきましょう
  3. 利子の設定に注意しましょう(多額の貸付の場合は税理士に相談した方がいいでしょう)

暦年課税贈与

暦年課税贈与は1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の金額から基礎控除額(110万円)を差し引いたものに対して課税されます。1年間に贈与を受けた金額が110万円以下の場合には贈与税はかかりません。110万円を超えた場合には申告が必要です。

この「1年間に贈与を受けた財産の金額」は、あげた側の人数にかかわらず、受け取った人の1人当たりの年額で判断します。例えば、子供が1年の間に父から100万円、母から100万円の贈与を受けた場合、合計200万円は110万円を超えるため、贈与税の納税が必要となります。

暦年課税贈与の税率は累進課税(10%~55%)となっており、贈与額が大きければ大きいほど、贈与税が大きな負担となります。届出が不要であり手続が簡便ではありますが、多額の資金援助には不向きと言えるでしょう。

また、資金援助した方が亡くなった場合、亡くなられた日から遡って3年内の贈与は、相続税申告時に相続財産への足し戻しが必要になる点にご留意ください。

相続時精算課税贈与

60歳以上の父母や祖父母から20歳以上の子や孫に贈与する場合、累計2,500万円までは贈与税がかからないという制度です。累計2,500万円を超えた部分については、一律20%の贈与税がかかります。相続時に、相続税精算課税制度の適用を受けた贈与財産の価額を相続財産の価額に加算して相続税を計算し、それまでに納めた贈与税額は相続税額から控除されることとなります。

この制度を利用することで、贈与税の負担がなく、または少ない負担で子や孫に多額の資金援助ができるのがメリットです。貸付のように返済や利息の設定も不要です。

ただし、制度を利用するためには届出が必要であること、あくまでも相続時に精算されるという制度であること、さらに、いったん相続時精算課税を選択すると、その後の贈与については暦年課税に変更することができなくなり、暦年課税の場合の基礎控除額110万円の適用も受けられなくなることにご留意ください。

まとめ

このように、親族間での資金援助にはいくつかの手法がありますが、それぞれメリット・デメリットがあることから、一概にどの方法がベストとは言えません。支援する金額や家族の年齢、緊急性などを考慮して適した手法を選択されることをお勧めします。選択に迷われましたら税理士にご相談ください。

税理士法人ブライト相続 税理士 竹下祐史

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