不動産の相続登記(名義変更)を自分でする方法
お亡くなりになった方が不動産を所有している場合、不動産の『相続登記』のお手続きが必要です。
相続登記については、専門家である『司法書士』に依頼することが一般的です。ただ、ご自身でお手続きする方もいらっしゃいます。
ご相続のお手続きでお客様から登記についてご相談を受けることがありますが、ご自身でチャレンジしてやってみます、という方は結構いらっしゃいます。傾向としては、法務局がやっている日中にお時間を取れる方が多いです。
ご自身で挑戦してみる方も、不足書類に不備があったりして、何度か法務局に足を運ぶことになってしまったということがあるようですので、できれば二度手間にならないように、このページで相続登記の流れや詳細をご確認ください。
目次
相続手続の概要
ご相続の仕方に応じて相続登記手続きの種類があります。相続登記といっても、種類に応じていくつかパターンがありますのでご説明します。相続手続の種類は大きく分けて3つあります。まずは、どの種類に該当するかご確認ください。
①『遺言』による相続登記
遺言書(公正証書遺言・秘密証書遺言・自筆証書遺言)を使用しての相続登記です。
②『分割協議』による相続登記
相続人が複数人いる場合、分割協議を行い、分割協議書を使用しての相続登記です。
③『法定相続』による相続登記
法定相続通りにやる場合の相続登記です。
これは案外知らない方もいらっしゃるんですが、遺言や協議書などの書類がなくても登記できます。これは、相続人に対して法定相続分が認められており、その持ち分は確保されているため、書面がなくてもお手続きが可能となるのです。考え方としては、法定相続分のまま持分をいれることであれば、そのまま登記ができるということです。
パターン別の登記の流れを法務局作成のフローチャートで確認してみましょう。
相続登記はいつまでにしなくてはいけないでしょうか?(手続きの期限)
相続登記に期限はありません。期限もなければ、罰則もありません。そうなると、
手続きも面倒そうだし、費用もかかるから、いつかやればでいいのでは?
こんなお気持ちになる方も多いかもしれません。もちろんそれでも問題ない方はいます。
しかし、義務ではなくともお手続きをしておいた方がベターというのが正解です。相続登記をいま済ましておかない場合には、デメリットや潜在的なリスクがありますのでご注意ください。
将来的なお話ですが、現在の相続人が死亡してしまった場合、現在とは関係者・登場人物が変わってしまいます。その場合、例えば、亡くなった方の相続人になる方も権利者となってしまうので、新たに権利者になった方にも協力してもらわないと手続きが進まない可能性があります。現在の相続人にお子さんが3人いた場合、登記(分割協議)を行わずに亡くなってしまうと、その3人のお子さんに協力してもらって手続きをすることになります。
この場合、下の世代にいくほど関係者の人数が増えてしまう点と、関係者(相続人)ごとのお付き合いや関係性が希薄になりがちという点が考えられ、結果として、手続きが非常に煩雑になってしまうことになります。
ですので、
相続登記は義務ではありませんし、期限はありませんが、できるとき(現在)にやっておきましょう。
相続登記の必要書類と入手場所
登記に際して必要な書類を把握しましょう。
登記する不動産に関する登記簿謄本(全部事項証明書)
法務局で入手可能です。また、オンラインでも入手可能ですのでご利用ください。
登記する不動産の固定資産税評価証明書
対象不動産が東京23区に所在する場合は都税事務所で、対象不動産がそれ以外の自治体に所在する場合は、その地域の市役所等の役所で取得できます。
被相続人と相続人の戸籍謄本
被相続人(不動産所有者)は出生~死亡までの戸籍謄本、相続人は現在の戸籍謄本を取得します。取得先は、本籍所在地の市役所等の役所になります。戸籍謄本の取得方法についてはこちらのページで詳細をご説明していますのでご参照ください。
相続人の住民票
住民票所在地の市役所等の役所で取得できます。
被相続人の戸籍の附票or住民票の除票
被相続人の住所を証明する「戸籍の附票」か「住民票の除票」のどちらかの取得が必要となります。「戸籍の附票」は戸籍謄本を取得する役所で、「住民票の除票」は最後の住民票所在地の市役所等の役所で取得できます。
相続登記の申請場所(申請方法)
申請方法は複数ありますので、ご自身に合った方法をお選びください。
原則は、その土地を管轄する法務局です。
具体的な場所は、法務局のホームページを参照しましょう。
↑こちらが非常に分かりやすいです。『一覧』・『地図』のどちらからでも確認できるので便利ですね。
オンラインでも申請可能です。
法務局提供の登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと)を使えば、オンライン申請も可能です。
郵送でも可能です。
ご郵送でもお手続き可能です。必要書類を集めて法務局に郵送するという流れになります。
相続登記にかかる費用は?
ご自身で相続登記を行う場合でも、必要書類の取り寄せ費用と税金がかかります。
必要書類の取り寄せ費用
登記に必要な書類を取り寄せる際、一般的には以下のような費用がかかります。
- 戸籍謄本…450円
- 除籍謄本…750円
- 原戸籍謄本…750円
- 住民票…300円
- 印鑑証明書…300円
- 固定資産税評価証明書…300円
- 登記時事項証明書…480円~600円
登録免許税
登録免許税は以下の算式で計算されます。
登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.4%
専門家(司法書士)への報酬
相続登記の依頼に対応する専門家は司法書士となります。相続登記について、依頼する司法書士によって報酬に大きく違いがでることはありません。
未登記家屋をお持ちの方が亡くなった場合のお手続き
未登記家屋をお持ちの方が死亡した場合、相続登記と異なったお手続きが必要です。
そのお手続きについてわかりやすく解説させていただきます。
未登記家屋とは?
そもそも未登記家屋とは何でしょうか?
これは、建物登記簿に登録されていない家屋になります。
通常、家屋を新築した場合は表題登記を行い、その家屋の所有者が誰であるかを正式に登録を行いますが、登記を行っていない家屋もあります。
未登記家屋でも問題ない?
それでは未登記家屋による問題はないのでしょうか?
これは、現状のまま変わらなければ特に問題はありませんが、行っておいた方がベターです。
具体的には、未登記家屋の場合、以下のような問題点が生じます。
法律的に所有者であることを証明できないため、第3者に対して対抗できません。簡単にいうと、この家屋は私の家屋ですという主張ができないということです。例えば未登記家屋を売却するのであれば、売却前に登記しておくことが必要です。
何かあった時のために、キチンと登記をしておくことがお勧めです。
建物所有者が亡くなられた場合は登記が必要?
表題登記は義務ではありませんので、相続によって取得するからといって登記の義務はありません。しかし、未登記家屋といっても固定資産税がかからないというわけではありません。
そのため、誰が固定資産税を払うかというのを明確にするために、登記は行わなくとも、所有者が変わったことについて、役所へのお手続きが必要となります。
具体的なお手続き
役所において、相続が行われたことにつき、その事実がわかる書類として『遺産分割協議書』と『相続人全員の印鑑証明書』が必要となります。
また、役所の所定の書類として、『未登記家屋所有者変更届』が必要となります。
松戸市の変更届の記入見本が以下のような書類となります。
まとめ
このページでは、ご自身で不動産の相続登記や名義変更手続を行うための手順等をご紹介しましたので、ぜひお役立てください。提携する相続専門の司法書士もおりますので、お手続の中でご不明点等ございましたら、ぜひお気軽にお問合せ、ご相談ください。